雪山バックカントリーは、手つかずの大自然を自分の足で歩き、滑走する最高の体験です。しかし、楽しい時間を過ごすためには、安全装備と日焼け対策を含めた万全の準備が欠かせません。雪山では標高が高く雪面からの紫外線反射が強いため、想像以上に肌や目へのダメージが大きくなります。この記事では、バックカントリーに必要な持ち物と装備を網羅的にご紹介し、特に見落としがちな日焼け対策のポイントを詳しく解説します。初心者の方も経験者の方も、安心して雪山を楽しむための参考にしてください。
バックカントリーの持ち物
バックカントリーでは、ゲレンデとは異なり、すべての装備を自分で背負って行動しなければなりません。万が一の事態に備えた安全装備から、快適に過ごすためのウェアや食料まで、必要なアイテムは多岐にわたります。ここでは、基本となる持ち物を項目ごとに整理してご紹介します。
基本ギアの必携リスト
バックカントリーで必ず持参すべき基本ギアは、滑走用の板やブーツ、ビンディング、ストック、そしてシール(登高用スキン)です。これらのアイテムは、雪山を登り降りするために欠かせません。板は通常のゲレンデ用とは異なり、軽量で取り回しやすいバックカントリー専用モデルを選ぶと、登りも滑りも快適になります。
また、バックパックも重要な基本ギアのひとつです。容量は20〜35リットル程度が一般的で、雪崩安全装備や水分、食料をすべて収納できるサイズを選びましょう。背中にフィットして動きやすいモデルを選ぶと、長時間の行動でも疲れにくくなります。
さらに、地図やコンパス、GPS機器などのナビゲーションツールも必需品です。雪山では視界が悪くなることもあるため、事前にルートを確認し、現在地を把握できる手段を複数用意しておくと安心です。
| アイテム | 用途 | 選び方のポイント |
|---|---|---|
| バックカントリー板 | 登高・滑走 | 軽量で幅広モデルが浮力が出やすい |
| シール | 登高時の滑り止め | 板の幅に合ったサイズを選ぶ |
| バックパック | 装備・食料の運搬 | 20〜35L、背面フィット重視 |
| 地図・GPS | ルート確認・現在地把握 | 予備の電池や紙地図も携行 |
安全装備の優先順位(ビーコン・シャベル・プローブ)
バックカントリーにおいて、雪崩対策の三種の神器と呼ばれるビーコン、シャベル、プローブは必ず携行すべき装備です。これらは万が一雪崩に巻き込まれた際、仲間を迅速に救助するために不可欠なアイテムであり、持たずに入山することは絶対に避けなければなりません。
ビーコンは電波を発信・受信する装置で、雪崩に埋まった人の位置を特定するために使用します。事前に必ず動作確認を行い、電池残量もチェックしておきましょう。シャベルは雪を掘り出すための道具で、軽量かつ丈夫な金属製のものが推奨されます。プローブは雪の中に埋まった人の正確な深さと位置を確認するための長い棒状の器具です。
これらの装備は持っているだけでは意味がなく、使い方を習熟しておくことが重要です。定期的に講習会や練習会に参加し、実際に使える技術を身につけておきましょう。
| 安全装備 | 役割 | 使用時のポイント |
|---|---|---|
| ビーコン | 雪崩時の位置特定 | 電池残量と動作を毎回確認 |
| シャベル | 雪の掘り出し | 金属製で軽量かつ丈夫なもの |
| プローブ | 埋没者の位置・深さ確認 | 素早く組み立てられる構造 |

ウェアと防寒の基本
バックカントリーでは、体温調節がしやすいレイヤリングが基本です。ベースレイヤー(肌着)、ミドルレイヤー(中間着)、アウターレイヤー(外側)の3層構造で、気温や運動量に応じて調整できるようにしましょう。ベースレイヤーは汗を素早く吸収・発散する化繊やメリノウール素材がおすすめです。
ミドルレイヤーには保温性の高いフリースやダウンを用意し、休憩時や寒い時に着用します。アウターレイヤーは防水性と透湿性を兼ね備えたハードシェルが理想的で、風雪から身を守りつつ、内側の蒸れを逃がしてくれます。
また、ビブパンツやグローブ、ネックウォーマーなども重要です。特にグローブは予備を含めて複数持参し、濡れたときに交換できるようにしておきましょう。防寒と同時に、紫外線対策も考慮したウェア選びが大切です。
| レイヤー | 素材・機能 | 選び方 |
|---|---|---|
| ベースレイヤー | 吸湿速乾 | 化繊またはメリノウール |
| ミドルレイヤー | 保温 | フリース・ダウン |
| アウターレイヤー | 防水・透湿 | ハードシェルジャケット |
| パンツ | 防水・防風 | ビブパンツがずれにくい |
水分食料と応急処置
バックカントリーでは、長時間行動するため、水分と食料の携行が欠かせません。標高が高く気温が低い環境でも、運動により汗をかくため、こまめな水分補給が必要です。保温ボトルや魔法瓶を使用すると、凍結を防ぎながら温かい飲み物を楽しめます。
食料は、手軽にエネルギー補給できる行動食を中心に用意しましょう。ナッツやドライフルーツ、エネルギーバー、チョコレートなどが携帯しやすく、寒い環境でも固まりにくいためおすすめです。また、万が一長引いた場合に備えて、予備の食料も持参すると安心です。
応急処置セットも必需品です。絆創膏、消毒液、包帯、痛み止め、テーピングなどを小型のケースにまとめておきましょう。軽い怪我や体調不良にすぐに対応できるよう、使い方も事前に確認しておくことが大切です。
日焼け対策を含めたバックカントリーの装備ポイント
雪山の紫外線は、想像以上に強力です。標高が高く、さらに雪面からの反射があるため、通常の環境の約2倍もの紫外線を浴びることになります。ここでは、日焼け対策を中心に、バックカントリーでの装備ポイントを詳しく解説します。
雪面反射による紫外線を防ぐ方法
一般的に、標高が1,000メートル上がるごとに紫外線量が約10%増加するといわれています。さらに、雪面は太陽光の約80%を反射するため、顔や首、耳などが下からも紫外線にさらされることになります。このため、通常の日焼けとは異なる「雪焼け」が起こりやすく、肌が赤くなったり、ヒリヒリとした痛みを伴ったりします。
特に晴天時や雲が少ない日は紫外線量がさらに増えるため、日焼け対策を怠ると、数時間で深刻なダメージを受けることもあります。また、紫外線は目にも影響を及ぼし、雪目(雪眼炎)と呼ばれる症状を引き起こす可能性があります。
こうしたリスクを避けるためには、日焼け止めや肌を覆うウェア、サングラス、ゴーグルなどを活用し、肌や目への紫外線の影響を最小限に抑えることが大切です。天候にかかわらず、日焼け対策は必ず行いましょう。
日焼け止めの種類を選ぶポイント
バックカントリーで使用する日焼け止めは、SPF50+、PA++++のウォータープルーフタイプを選ぶのが基本です。SPFは紫外線B波(UVB)を防ぐ指標で、PAは紫外線A波(UVA)を防ぐ指標です。雪山では両方の紫外線が強く、長時間の行動が予想されるため、最高レベルの防御力を持つ製品が適しています。
また、汗や雪で濡れても落ちにくいウォータープルーフタイプが必須です。スティックタイプやクリームタイプなど、さまざまな形状がありますが、持ち運びやすく、塗り直しがしやすいものを選びましょう。スティックタイプは手を汚さず、冷たい環境でも使いやすいため、特におすすめです。
敏感肌の方は、ノンケミカル(紫外線吸収剤不使用)の日焼け止めを選ぶと、肌への負担を軽減できます。購入前に成分をチェックし、自分の肌に合った製品を見つけておきましょう。
| 日焼け止めのタイプ | 特徴 | おすすめの使用シーン |
|---|---|---|
| クリームタイプ | しっかり密着、保湿効果あり | 出発前・休憩時の塗り直し |
| スティックタイプ | 手を汚さず、ピンポイントで塗れる | 行動中の頬・鼻・耳への塗り直し |
| スプレータイプ | 広範囲に素早く塗布できる | 背中など手が届きにくい部位 |
| ノンケミカルタイプ | 紫外線吸収剤不使用 | 敏感肌の方 |

正しい日焼け止めの塗り方と塗り直しタイミング
日焼け止めは、出発前にたっぷりと塗ることが重要です。顔、首、耳の裏、手の甲など、肌が露出する部分すべてに、厚めに塗布しましょう。特に鼻や頬骨など、高い位置にある部分は紫外線を浴びやすいため、重ね塗りをしておくと安心です。
塗り直しのタイミングは、2〜3時間ごとが目安です。運動量が多く汗をかきやすいバックカントリーでは、ウォータープルーフタイプでも徐々に効果が薄れるため、こまめな塗り直しが欠かせません。休憩時や昼食時など、動きが止まったタイミングで塗り直す習慣をつけましょう。
唇も紫外線の影響を受けやすい部位です。リップクリームはSPF入りのものを選び、日焼け止めと同様に定期的に塗り直しましょう。荒れた唇は痛みを伴うだけでなく、感染症のリスクも高まるため、早めのケアが大切です。
目と唇を紫外線から守る方法
目を紫外線から守るためには、サングラスやゴーグルが必須です。雪面からの反射光は非常に強く、長時間浴びると雪目(雪眼炎)を引き起こします。雪目は目の痛みや充血、涙が止まらないといった症状をもたらし、重症化すると視力に影響を及ぼすこともあります。
サングラスは、紫外線カット率99%以上のものを選びましょう。また、横からの光も入らないよう、フレームが顔にフィットするデザインが理想的です。ゴーグルは視界を広く保ちながら、風雪や紫外線から目を守ってくれます。曇り止め機能がついたレンズを選ぶと、快適に使用できます。
唇の保護には、UVカット機能を持つリップクリームを使用しましょう。乾燥しやすい雪山では、保湿成分が豊富なタイプがおすすめです。荒れた唇は日焼けの影響を受けやすいため、出発前から丁寧にケアしておくことが大切です。
さらに、顔全体を覆うフェイスカバーを活用すると、日焼け止めの塗り直し回数を減らすことができます。MARUFUKUの「ヤケーヌ」は、高いUVカット率で顔や首元をしっかりガードできます。さらに、ヤケーヌは上下二部式構造でできており、口元に開口部があるため、熱がこもりにくく、装着したまま水分補給も可能です。また、息苦しくなく、楽に呼吸ができるため、バックカントリーのような激しい運動でも快適に使用できます。耳にかけるだけで簡単に着脱でき、通気性に優れているため、汗をかいても蒸れにくい点も魅力です。

バックカントリーでの持ち物チェック
持ち物を整理し、忘れ物がないようにすることは、安全で快適なバックカントリーを楽しむための基本です。ここでは、パッキングのコツや持ち物の選び方、緊急時に備えるアイテムについてご紹介します。
パッキングのコツ
バックパックへの荷物の詰め方は、重心のバランスと取り出しやすさを考慮することが大切です。重いものは背中側の上部に配置すると、背負ったときに安定感が増し、長時間歩いても疲れにくくなります。軽いものや使用頻度の低いものは、バックパックの底や外側のポケットに収納しましょう。
頻繁に使うアイテム、例えば日焼け止めや行動食、地図などは、サイドポケットやトップポケットに入れておくと、バックパックを下ろさずにサッと取り出せます。また、防水バッグやジップロックを活用して、濡れては困るものを保護しておくと安心です。
パッキングの際は、全体の重量にも注意しましょう。荷物が重すぎると体力を消耗しやすくなるため、必要最低限のアイテムに絞ることが重要です。前日にリストを作成し、一つひとつチェックしながら詰めていくと、忘れ物を防げます。
持ち物の選び方
持ち物を選ぶ際は、軽量でコンパクト、かつ機能性の高いものを優先しましょう。バックカントリーでは、すべてを背負って長時間行動するため、重量が増えるほど体力的な負担が大きくなります。例えば、ダウンジャケットは軽量で保温性が高く、小さく圧縮できるため、ミドルレイヤーとして最適です。
また、多機能なアイテムを選ぶことで、持ち物を減らすことができます。例えば、ネックチューブは首の保温だけでなく、フェイスカバーや頭部の保護にも使えます。このように、一つで複数の役割を果たすアイテムを選ぶと、荷物の軽量化につながります。
日焼け用品についても、コンパクトで携帯しやすいものを選びましょう。スティックタイプの日焼け止めや小型のリップクリームは、ポケットに入れておくことで、行動中でもすぐに使えます。持ち物全体のバランスを考えながら、必要なものを厳選してください。
日焼け対策アイテムの準備方法
日焼け用品は、すぐに取り出せる場所に収納することが重要です。バックパックのサイドポケットやトップポケットに入れておくと、休憩時や塗り直しのタイミングで素早くアクセスできます。特にスティックタイプの日焼け止めは、蓋がしっかり閉まるものを選び、中身が漏れないよう注意しましょう。
リップクリームやサングラスも、ポケットに入れておくと便利です。サングラスはハードケースに入れて保護しておくと、破損を防げます。また、予備の日焼け止めをバックパックの底に入れておけば、メインのものがなくなったときにも対応できます。
フェイスカバーを使用する場合は、ウェアのポケットやバックパックのショルダーストラップに取り付けておくと、必要なときにすぐに装着できます。日焼け用品は、使いやすさと携帯性を重視して配置しましょう。
緊急時に備える必須アイテムの選び方
緊急時に備えて、ファーストエイドキット、ホイッスル、ヘッドランプ、エマージェンシーブランケットは必ず携行しましょう。ファーストエイドキットには、絆創膏、消毒液、包帯、痛み止め、テーピングなどを入れておき、軽い怪我や体調不良に対応できるようにします。
ホイッスルは、遭難時や助けを呼ぶ際に声よりも遠くまで音が届くため、必携アイテムです。バックパックのショルダーストラップに取り付けておくと、すぐに使えます。ヘッドランプは、予定よりも行動が長引き日が暮れてしまった場合に備えて、必ず持参しましょう。予備の電池も忘れずに携行してください。
エマージェンシーブランケットは、軽量でコンパクトながら、体温を保持する効果があります。低体温症のリスクがある雪山では、万が一のときに命を守る重要なアイテムです。これらの装備は、使わないことが一番ですが、備えあれば憂いなしの精神で必ず持っていきましょう。
| 緊急アイテム | 用途 | 携行方法 |
|---|---|---|
| ファーストエイドキット | 応急処置 | バックパック内の取り出しやすい場所 |
| ホイッスル | 救助要請 | ショルダーストラップに取り付け |
| ヘッドランプ | 暗闇での行動 | 予備電池とともに携行 |
| エマージェンシーブランケット | 保温・低体温症予防 | バックパックの底に収納 |

まとめ
雪山バックカントリーは、大自然を満喫できる素晴らしいアクティビティですが、安全装備と日焼け対策を万全にすることが、楽しい時間を過ごすための大前提です。ビーコン、シャベル、プローブなどの雪崩対策装備はもちろん、レイヤリングを意識したウェア選びや、水分・食料の携行も忘れずに準備しましょう。また、雪山特有の強い紫外線から肌や目を守るため、SPF50+・PA++++の日焼け止めやサングラス、フェイスカバーなどを活用し、こまめにケアすることが大切です。持ち物リストを作成し、パッキングのコツを押さえながら、自分に合った装備を整えてください。万全の準備で、安心して雪山バックカントリーを楽しみましょう。


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