熱中症というと夏の厳しい暑さの影響で発症すると思っている方が多いですが、近年は春先の暑い日でも熱中症で救急搬送されるケースが増えてきています。
高齢者の方は熱中症にかかりやすく、また熱中症になると重症化しやすいので特に注意が必要です。
しかし、高齢になるとご本人は症状に気付きづらいことがあるので、家族や周りの人たちも積極的に対策を考えていただいたほうが良いと思います。
「高齢者の熱中症対策」というと、どんな事が頭に思い浮かんできますか?
適切な予防法を知っていれば熱中症を防ぐことができ、応急処置を知っていれば救命することができます。
今回は高齢者の熱中症対策についてと、農作業、軽スポーツ(ゲートボールやグランドゴルフなど)長時間屋外にいる高齢者の方に気を付けていただきたいことなどを詳しく解説していきたいと思います。
熱中症とは
通常人間の身体は汗をかくことで体温の調節をおこない急な体温上昇を抑えようとしますが、高い気温、高い湿度、無風などの環境や、長時間労働、運動などによって体温調節が上手に機能せず身体が十分対応できなくなると、頭痛やめまい、体温の上昇や吐き気など様々な症状が起こることの総称を熱中症といいます。
熱中症の症状と対処方法
【軽度】
症状「めまい、立ちくらみ、手足のしびれ、こむら返り、大量の汗」
対処方法「涼しい場所に移動する。衣服をゆるめ、足を高くして安静にする。水分、塩分を補給する」
【中等度】
症状「頭痛、吐き気、だるく力が入らない」
対処方法「軽度の処置にプラスして体を冷やす。回復してこない場合は病院へ。」
【重度】
症状「意識がない、けいれん、呼びかけに対する返事がおかしい、体が熱い、まっすぐに歩けない」
対処方法「ただちに救急車を呼びましょう、応急処置もおこなってください。」
高齢者が熱中症になりやすい理由
喉の渇きを自覚しにくい
暑さやのどの渇きが自覚しづらくなってきます。そのために水分不足や暑さに気が付かず熱中症になってしまうケースがあります。
体温調節機能の低下
体温調節機能が低下するので、暑くても汗をかくまでが遅くなってしまい、体に熱がこもりやすくなってしまう。
保有できる水分量の低下
成人の体の60%は水分ですが高齢者は50%程度になり、元々体の水分量のたくわえが少ないので脱水を起こしやすくなります。
・体力の低下
「若いころからの生活スタイルを変えたくない」環境が変わり気温が依然と比べると高く、体力が落ちてきていても、生活を変えないので身体に負担がかかり無理をすることになってしまっている。
危険!高齢者は熱中症が重症化しやすい理由
高齢者の方は体温調節や体力などすべての機能が低下していますので、熱中症にかかりやすくなっています。
また、「これくらい大丈夫」「迷惑をかけたくない」と我慢して病院に行かない高齢者の方も多く、気が付いた時には重症化している場合があります。回復も遅いので、最悪の場合は死に至るケースもあります。
熱中症患者の約半数は高齢者で死亡した人の80%以上は65歳以上の高齢者です。
こんな時は要注意!高齢者が熱中症になりやすい場面
【室内】
暑く湿度が高い日は室内も安心できません、クーラーや扇風機を使用せず窓を開けているだけでは危険です。
入浴前後や睡眠時にも熱中症を発症します。脱水症状を防ぐようこまめに水分補給しましょう。
【屋外】
日差しの強い時間帯、外での軽スポーツ、農作業中は木陰や日傘などで直射日光をガードできず注意が必要です。
高齢者を熱中症から予防するための方法
- 普段から体調管理をしておきましょう。バランスの良い食事、しっかりと睡眠をとり暑さに負けない身体を作りましょう。
- エアコンや扇風機を上手に使いましょう。また高齢になると暑さを感じにくくなるので、エアコンを一定の温度に常に設定しておくのも良い方法です。
- お風呂はぬるめに設定をして長風呂はさけましょう。
- 気温や湿度を把握しておきましょう。暑さを感じにくくても熱中症の目安となる温度がわかれば対策をとりやすくなります。
- 周囲の人が声をかけてあげましょう。高齢の方は暑さや脱水症状に気が付きにくいので、家族や周りの人が熱中症予防するように働きかけましょう。
- 熱中症対策グッズを有効活用しましょう。近年「暑さを防ぐグッズ」も種類が増えています。冷感ジェルなど自分に合うものを上手に利用しましょう。
高齢者の屋外での軽作業や炎天下の熱中症の予防方法
- 水分補給をする、のどが渇く前にこまめに補給すると良いです。お茶などカフェインが入っているものより麦茶などのノンカフェインのもの、高齢者の方には塩分、糖分もとれ体に吸収されやすい「径口補水液」がおすすめです。
- 通気性の良い衣服を身に着けることも大事です。
- 帽子の着用が効果的です。炎天下でも通気性が良く、遮光・遮熱効果の高い帽子を着用すると暑さを和らげることが出来ます、直射日光をびないようにしましょう!
- 涼しい場所を確保し、木陰でこまめに休憩をとるように心掛けましょう。
- 炎天下では輻射熱を吸収してしまうので黒色を着ることは避けましょう。
基本として高齢者の方は、日差しの強い時間帯は熱中症の発症率が高くなりますのでなるべく気温が上がる前の午前中や夕方に屋外作業をした方が熱中症予防になります。
あなたのおじいさんおばあさん「高齢者」を熱中症から守る為に必要なこと!
高齢者の方の熱中症対策についてご紹介してきましたが、この対策をご自身やあなたの身近な高齢の方に伝えて熱中症予防に役立てましょう。家族の方からの提案も重要なポイントになります。「自分は大丈夫」と応じてくれないこともありますが、ぜひ繰り返し声をかけてあげて下さい。
自分自身と大切な家族皆が暑い季節を快適に健康に過ごせるように、熱中症対策を心掛けましょう。
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